■300年万年前に形成された神秘の洞窟。珍しい動植物が息づくネイチャースポット

私の知っている伊尾木洞は、洞窟の先になぞの女体の石像が佇む不思議スポット。ニッチな方しか訪れない、忘れ去られたかのような場所でした。→その当時のことを書いている方のブログ
そんな伊尾木洞が、高知家・まるごと東部博の開催に合わせて整備され、安芸市が誇れる新ネイチャースポットに変わっていました。
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国道55号のすぐ近くにありながら、日常を忘れさせてくれるような空間です。伊尾木公民館の駐車場に車をとめて、案内看板を頼りに約3分で洞窟入口へ。

洞窟の中はこんな感じ。
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この先に何があるのかワクワクさせられます。ところどころ水が落ちて来て、ひんやり涼しい。ここにはコウモリも暮らしています。

約50mほどの洞窟の先に、ぽっかりと大きな穴が見えてきます。光が差し込みきれい。

そこを抜けると、木漏れ日差し込む緑の世界が広がります。
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伊尾木洞の最大の魅力がこのシダ。
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40種類以上のシダが生息し、その珍しさから大正時代にこのシダが国の天然記念物として指定されています。

素敵なパンフレットができていましたが、シダのこともしっかり書かれています。
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ここから先、整備される前は石像があり、その先は流木と木々が生い茂って通れる状態じゃありませんでした。今はすっかりきれいになり道が抜けていました。ここから先はいったことがなかったのでワクワクします。滝があるとのことで、そこを目指します。

天然のコケ玉。
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巨大な岩に草木が生えていて、時の流れを感じます。

地層でできた壁面にびっしりとシダや木々がしげり、別世界にうっとりさせられます。
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300万年の歳月がつくりあげた神秘的な空間です。
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滝に到着。
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大きな滝壺ではないものの、やさしい美しさがありました。

洞窟からゆっくり歩いてここまで約10分くらいでした。今回は洞窟エリアを堪能したかったので折り返しましたが、さらに滝の先の順路を進むと、上から洞窟を見下ろしたり、海を見渡せたりするスポットもあるそうです。
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(洞窟入り口にマップ看板あり。駐車場近くのKマートでは地図やパンフレットが配布されています)

途中で、若いカップル、中年のご夫婦、ファミリーなど数組の観光客とすれ違いました。

特に驚いたのが70歳後半と思われるご夫婦。足下が悪い中、杖をつきながら歩いていました。
「滝が見たくて向かいゆう。いやぁマイナスイオンがすごいね」というお父さんの言葉に、どんなに歳を重ねた人でも、自然の癒しを求めるのだなーと、この場所の偉大さを感じました。

そうそう、道中にハートの石を発見しました。
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この石を見つけると恋愛系でいいことあるかも。ぜひ、探してみてください♥


■伊尾木洞を歩くための準備と注意点

滝まで歩いて感じたのが「ありのままの自然を限りなく残しつつ整備がされている」という素晴らしさです。

看板と橋や補助のロープ以外は人工物はいっさいありません。洞窟付近は、歩きやすいように一部コンクリートで固めた道ができていますが、そこから先は岩場です。

また、水が流れているので、跨いで進まないといけないポイントが数カ所。
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雨がふれば増水するので、この日のようなチョロチョロとした水ではなく、大水の日もあります。

そこで、「運動靴」は必須!ぬれたくない方は長靴が安全です。
さらに、マムシも出ます。噛まれたら命にも関わるので、長袖、長ズボン、長靴着用が一番安全スタイルです。女子は、間違ってもヒールとスカートでこないようにね。服も靴も傷んじゃう可能性大です!
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そのほか、
◎植物、化石などの採取禁止
◎壁面など、地層を傷つける行為の禁止
◎洞窟内での電灯使用禁止(コウモリが暮らしているため)
が、看板などに書かれていたので記載しておきます。

動植物の生態系の中に人がお邪魔しているという気持ちで、自然に負担をかけないように散策いただけたらと思います。


■地元住民でつくられた「伊尾木あなごう保存会」ががんばってます。

伊尾木洞、想像以上に魅力的な場所になっていました。散策できる長さが増えた分、癒され度も増幅したと感じます。

その整備に取り組まれたのが、伊尾木地区住民で今年結成された「伊尾木あなごう保存会」。この場所の維持管理、PRなどの活動をしています。

伊尾木公民館の駐車場も開放し、観光客にトイレも使えるようにしているおもてなし力。

さらにオリジナルのおみやげ「あなごうせんべい(300円)」も販売中。
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伊尾木にある和菓子メーカーとコラボし、安芸市入河内地区の茶葉を使った安芸のものだけでつくったせんべいです。

伊尾木公民館の近くにあるKマートでかえます。売り上げのうち90円が伊尾木洞の維持管理費の寄付になるそうです。ぜひ、洞窟探検のあとは、あなごうせんべいを買って、応援をおねがいします。

(「あずきせんべい」200円はKマート主人の大好きな味ということで買ってみました♪安芸で作れる人が一人しかいなくなってしまった地元銘菓です。)


■地域の資源を再発見するということ。

伊尾木洞に人がたくさん来てくれている姿をみて、ふと頭に浮かんだ事例がありました。

2015年上期のTBS日曜ドラマ、地方創生、地域活性化がテーマの「ナポレオンの村」で取り上げられていた「地底湖クルーズ」。需要がなくなり、そのまま放置されていた大谷石の採掘場跡地を地域の観光資源として磨き、大人気のツアーとなっている栃木県「OHYA UNDERGROUND」がモデルにされていました。

「地域の資源を再発見して付加価値をつけて売り出す」
まちおこしの現場で言われることですが、全国各地で面白い動きのあるまちや村は、それに成功しているところだと思います。

でも、その「資源」を見つけるのは結構難しい。自分の地元であればあるほど、当たり前になってしまい、「何もない」と思ってしまう。そこに必要なもののひとつが外の目。地底湖クルーズも地域の外の人が魅力化したそうですが、伊尾木洞もそうゆう一面があったと思います。

安芸市に移住した女性が、この場所に惚れ込み、地域の人と一緒に、整備をすすめ、ガイド体制を整え、おみやげづくりをサポートしました。地元の人の頑張りに、外の人ならではの目と経験が加わり、伊尾木洞が飛躍的に知られるスポットになったのではないかと思っています。

「たくさんの人に愛される場所が、見えてないだけで地元を探せばある!」
多様な目を持つ人の力を借りることが、地元の再発見・付加価値化に大きく貢献すると感じさせられた私の里の嬉しいニュースでした。

◎伊尾木洞
住/高知県安芸市伊尾木195−1(伊尾木公民館)
駐/伊尾木公民館(Kマートは臨時駐車場)
問/TEL:0887-35⁻7456(伊尾木公民館・伊尾木あなごう保存会)
 


◎Kマート
高知県安芸市伊尾木177−9
営/9:30〜18:30
休/日曜 
問/TEL:0887-34-0123